転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 ルイベ・ホシイイ伯爵令嬢と話していると、窓の外から甲高い声が聞こえてきた。
 思わず令嬢と顔を合わせてしまう。

「何かしら」
「聞いたことのない声、ですわね」
「覗いてみましょうか、ルイベ様」

 ルイベ嬢と二人で窓に寄ってみると、そこには見たことのない女性が、第二王子に大きく手を振っている。
 隣の窓では、同じようにクレオメガ公爵令嬢とそのオトモダチが目を見開いてそちらを見ていた。

「クレオメガ公爵令嬢」
「なによ」
「差し出がましいようですが、すでに婚約者がいる私より、あちらの女性の方をお気にかけては?」
「有象無象なんてどうでも良いのですわ」

 確かに、第二王子はやたらと顔が良いので、多くの女生徒が取り巻きとして、侍っている。
 私はすでに第一王子の婚約者。つまりそこそこの身分がある上に、第二王子が気にかけているから、チクチクネチネチ絡んできてるってことなのね。

 うっわ、めんどくさ。

 第二王子は、さっさとこの公爵令嬢を回収して結婚してくれないかな。
 あ、それより先に私が結婚してしまえば──いやそうなると、デリーが立太子しないと……。

 結局ここに戻ってしまうのだ。

「あ、デリー」
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