転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
持ってきた本の中から、外国の図鑑を引っ張り出す。
「うわっ!」
下の方にあったそれを慌てて引き抜いたから、バサバサと山を崩してしまった。フェデルが慌ててもとに戻す。ごめん……。
図鑑の表紙に書かれているのは、間違いなく隣国の文字。我が家の隣の国である、アジェスティ王国のものだ。
「あー……。読めちゃうね……」
フェデルにも聞こえないくらいの、小さな声で呟く。
これは、チート能力のありがたい賜物だわ。ただ、チートでできる、となると説明がつかないから、取り敢えず、自分で学んで読めるようになった、天才少女、って設定にしとこう。
うん。私ってば天才じゃない?
そういうわけで、持ってきた本を言語別にわけることにした。
フェデルにも手伝って貰って、部屋の中にいくつかの本の山が完成する。
わかれた山ごとの言語をチェックし、それぞれの辞書や、文法書などの各国語教本を執事のゼノアにお願いして持ってきて貰うことにした。
どうしてゼノアかっていうと、こういう勉強をしているんですよ~ってことを、印象づけたかったから。
ふふふ。やっぱり私ってば天才。