転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない

第28話 等高線と地図

 ついにあの女が入学してきてしまった。
 第二王子に興味を示しているから安心していたのに、何故かイリスにも絡んでいく。

 イリスには、あの女と関わらないようにと注意をしたかったが、その前に当たり屋のように現れたらしい。
 しかし、あの女の異常さにはイリスも気付いているみたいだ。

 さすがはイリス。
 でも、『物語』は進んできている。イリスが巻き込まれないように、早くどうにかしなくては。
 
   ***

 週末、タウンハウスの図書室で、私は地図を広げていた。

「うん。聞いていたことと大体あっているわね」
  
 タウンハウスの調査部の人員を借りて、調べたことの報告書に目を通す。
 そうして地図を広げ、数値を入れていく。

「国が出している地図とは……少し違っているのもまた面白いわ」

 側妃派、中立派の子女に聞いてまわっていたのは、地形。
 特に大きな山や谷、川などについて確認を取った。

 タウンハウスの調査部の人たちには、側妃派、中立派はもちろん、正妃派の各領地の地形も確認してもらっている。
 そちらは事細かに、土地の高低、土質などまで調べさせた。
 それを手元の地図に入れ込み、等高線図を作っていく。

「何をしてるの?」
「お婆さま」

 私の手元を見て、お婆さまは「地図?」と声を出す。
 初めて見るような作りだから、不思議そうだ。

「これは、土地の高さを示した地図です」
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