転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
第29話 乙女ゲームはそっちでやってて
「どうしてイリスさんは、私を無視するんですかぁ?」
廊下でたまたま会っただけの、顔しか知らない人間を無視するも何もないと思うんだけど。
そういえば、彼女のことを調べようと思ってすっかり忘れていた。
そんなどうでも良いことよりも、等高線図を完成させたり、学校や王城の図書館の本を読む方が重要だったから……つい……。
ま、名前なんて、言いがかり付けてきたんだし、本人に聞けば良いよね。
「えぇと、あなたお名前なんでしたっけ」
「ひどおおい! ヒュブリア・ベルネです。名前も覚える価値がないというんですかぁ」
酷くヒステリックな物言いに、頭が痛くなりそうだ。
ベルネ、ベルネ……あぁ、やや王妃派側に近い中立派の男爵家か。でも、あの家にこんな年齢の令嬢はいなかったはず。
「ベルネ男爵令嬢、私とあなたは、きちんと言葉を交わしたのは本日が初めてです」
周りに聞こえるようにはっきりと言う。
「あれ、イリス。どうした?」
「ウェスタ兄さま。いえ、見知らぬご令嬢から、突然話しかけられたので、名乗りをお願いしていたのです」
「ふぅん。イリスが知らない令嬢、ねぇ。君、どこの誰?」
今度は後ろからデリーの声。さりげなく後ろからお腹に手が回る。
お腹、ぺったんこ令嬢で良かったわ。
「デリー様っ! 私はヒュブリア・ベルネ、今年よりベルネ男爵家の娘となりました」
廊下でたまたま会っただけの、顔しか知らない人間を無視するも何もないと思うんだけど。
そういえば、彼女のことを調べようと思ってすっかり忘れていた。
そんなどうでも良いことよりも、等高線図を完成させたり、学校や王城の図書館の本を読む方が重要だったから……つい……。
ま、名前なんて、言いがかり付けてきたんだし、本人に聞けば良いよね。
「えぇと、あなたお名前なんでしたっけ」
「ひどおおい! ヒュブリア・ベルネです。名前も覚える価値がないというんですかぁ」
酷くヒステリックな物言いに、頭が痛くなりそうだ。
ベルネ、ベルネ……あぁ、やや王妃派側に近い中立派の男爵家か。でも、あの家にこんな年齢の令嬢はいなかったはず。
「ベルネ男爵令嬢、私とあなたは、きちんと言葉を交わしたのは本日が初めてです」
周りに聞こえるようにはっきりと言う。
「あれ、イリス。どうした?」
「ウェスタ兄さま。いえ、見知らぬご令嬢から、突然話しかけられたので、名乗りをお願いしていたのです」
「ふぅん。イリスが知らない令嬢、ねぇ。君、どこの誰?」
今度は後ろからデリーの声。さりげなく後ろからお腹に手が回る。
お腹、ぺったんこ令嬢で良かったわ。
「デリー様っ! 私はヒュブリア・ベルネ、今年よりベルネ男爵家の娘となりました」