転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
第31話 まさかの婚約破棄
「貴様とは婚約を破棄し、このヒュブリア・ベルネ男爵令嬢を正式な婚約者とする!」
冬休み前のパーティで、まさかの出来事が起きた。
目の前で起こる情景が信じられなくて、私はただただ瞬きを繰り返してしまう。
「聞いているのか!」
怒号のような声。
何が起きているのだろうか。
「イリス」
「デリー」
呆然としている私に、隣にいたデリーがちょいちょい、とつついてきた。
いけない。あまりにも突飛なこと過ぎて、ついていけないでいたけど、しっかり見届けないといけないわね。
「聞いているのか、クレオメガ・ワストル公爵令嬢」
壇上にいるのは第二王子であるキュノ・ハッグス。
その横には、例の黄色い声の持ち主ヒュブリア・ベルネ男爵令嬢。相対するは、もちろんクレオメガ・ワストル公爵令嬢だ。
「婚約を破棄する、と今おっしゃいましたが、それは国王陛下と我が父であるワストル公爵も了承の上で?」
「それはこれからだが、そなたのような悪辣な女を、王家に迎えることを、国王陛下は喜ばないからな」
あ、やっぱり?
やっぱり独断なんだ。
「イリスがこのあいだ、正妃陛下に彼女のことをほのめかしただろ?」
「うん」
「あのあと、ベルネ男爵令嬢のことを調べて、キュノに注意したらしい」
「つまり、反対されて盛り上がった、と」
「たぶんな。──それが目的だったんだろ?」
冬休み前のパーティで、まさかの出来事が起きた。
目の前で起こる情景が信じられなくて、私はただただ瞬きを繰り返してしまう。
「聞いているのか!」
怒号のような声。
何が起きているのだろうか。
「イリス」
「デリー」
呆然としている私に、隣にいたデリーがちょいちょい、とつついてきた。
いけない。あまりにも突飛なこと過ぎて、ついていけないでいたけど、しっかり見届けないといけないわね。
「聞いているのか、クレオメガ・ワストル公爵令嬢」
壇上にいるのは第二王子であるキュノ・ハッグス。
その横には、例の黄色い声の持ち主ヒュブリア・ベルネ男爵令嬢。相対するは、もちろんクレオメガ・ワストル公爵令嬢だ。
「婚約を破棄する、と今おっしゃいましたが、それは国王陛下と我が父であるワストル公爵も了承の上で?」
「それはこれからだが、そなたのような悪辣な女を、王家に迎えることを、国王陛下は喜ばないからな」
あ、やっぱり?
やっぱり独断なんだ。
「イリスがこのあいだ、正妃陛下に彼女のことをほのめかしただろ?」
「うん」
「あのあと、ベルネ男爵令嬢のことを調べて、キュノに注意したらしい」
「つまり、反対されて盛り上がった、と」
「たぶんな。──それが目的だったんだろ?」