転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 出かけ際にシェフにそう言われて、私はにんまりと笑う。
 そう、タウンハウスで作った醤油と味噌は、大成功といって良いほどうまくいった。
 すでにタウンハウスでも使っていたけど、やはり料理人に任せた方がバリエーションは広がる。
 
 そこで、領地のシェフにも送っておいたのだ。今はこれを量産しようとしている。
 まぁ、なんか本で読んだとかよくある言い訳で、皆が納得したから良かった。
 醤油と味噌が発音し辛いらしく、気付いたらショウユウとミイソになってたのには、笑ったけどね。
 
「あ! プロメスさん!」
「イリス様。どうですか、温室の様子は」

 馬で回り始めると、すぐにプロメスさんを見つけた。
 なんでも、我が家の庭で作ってみたら、ホロ爺が絶賛したらしい。

 それで、お母さまも「さっさと領内に作っちゃいましょ」と決断してくれたとか。
 なんでも決断と行動が早いのは、戦に対応してきた我が家の習慣なのかもしれない。

「最高よ! 本当にありがとう。それに、私が持っている閑地にも、大きなものを作ってくれたでしょう」
「王城での打ち合わせのときに、イリス様が二つ大きなものを作りたいとおっしゃってたので、それで」
< 151 / 168 >

この作品をシェア

pagetop