転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
「そうねぇ。でも国王陛下……今はもう、元、だけど。彼は禄に政もせず、女遊びしてたから」

 どうやら、あまり見聞きしない国王だな、と思っていたら、仕事をほっぽり出して遊んでたのか。
 それは、乗っ取られても当然だ。

 ワストル公爵家は、もともと三代前の国王の弟君が立ち上げられた家だったので、血筋的にもそんなに問題はないのだろう。
 正妃はセルート大公国の手前、ゆっくりと静養いただいているらしい。

 なんでも、ワストル公爵家が持っている、小さな島があるらしく、そこで過ごしているとか。
 第二王子と、例のヒュブリア・ベルネ男爵令嬢も、そこにいるとのこと。

 自給自足ができる島だというから、無事に生き抜いて欲しい。
 どうでも良いけど。

「それよりも、春のパーティの話をしましょう」
「あら、それは良いわね!」

「お母さま!」
「テレイア!」

 お母さまとお義母さまは従姉妹同士だ。
 ずっとお義母さまのことを、お母さまは心配していた。

「デザイナーのジョニュア女史を呼んでいるのよ。せっかく独立して、多くの貴族もこちらについてくれたんだもの。楽しいパーティにしなくちゃね」
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