転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
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だめだ! 私、前世の記憶でどうにかなるかと思ったけど!
前世ではミリもドレスに関わらない人生だったのよ!
というよりも、海外ならともかく、日本の一般庶民がドレスに関わるのなんて、自分の結婚式くらいじゃない?
しかも私結婚してなかったからね?
というわけで、必死になってアニメとかSNSに流れてきていたイラストとか、お人形さんの洋服とかを思い出す。
そこでふと、気付いた。
「クリノリンって……ないよね」
「イリス様、そのクリノ……リン? とはどのようなものでしょうか。生地でしょうか。もしくはドレスの形……または」
「あ、ごめんなさい」
私の呟きを、ジョニュア女史がしっかりと拾ってしまう。
そして追及の手は──緩まない。
「いいえ、その、聞いたことがない単語にございます。どのようなものか、詳しくお伺いしても?」
「まぁまぁ、ジョニュア女史。落ち着いてくださいませ。イリス、説明なさい」
お母さまの有無を言わせない笑みに、私は苦笑いを浮かべるしかなかった。