転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
黒。それは婚約者となったデリーの色だ。
彼は黒髪に黒目だった。でも、私の年齢で黒を基調としたドレスって、難しくないかしら。
「まぁ。それは斬新でございます。イリス様のご年齢で、黒のドレスのご令嬢はいらっしゃいませんから、目立つこととなりますでしょう」
「かわいいイリスの魅力が存分に出るデザインでお願いね」
「それでいて、動きやすく!」
「イリス! あなたはまだそんな」
「だってお母さま。武門の娘として登城するんだもの。その方が良いわ」
嘘である。
動きにくいドレスを、わざわざ新しく作りたくないだけ。
でも、お母さまは私の主張に納得してくれたみたい。
「それもそうね。クリノリンで随分と動きやすくもなるでしょうし、あとは」
「ここ! 袖のこの部分を膨らませて欲しいの」
何枚も重ねるペチコートの他に、もう一つ問題があるのだ。
それが、コルセット。
ウエストを細く見せるために、木のツルを何本も縒ったものや、動物の骨を組み込んだコルセットで上半身を締め付けるアレは、できれば付けたくない。
「コルセットも、できれば普段使ってる布を重ねた柔らかいものにしたいの。そのかわり、ウエストが細く見えるように、肘の前後を膨らませた袖にするのはどうかしら」
つまり、ウエストの横にボリュームのあるものを置いて「あれ、なんか細いな」と錯覚させる方法だ。
アホみたいなウエストの細さは、内臓がおかしくなるから不要でしょ。
「イリス……、あなた」
彼は黒髪に黒目だった。でも、私の年齢で黒を基調としたドレスって、難しくないかしら。
「まぁ。それは斬新でございます。イリス様のご年齢で、黒のドレスのご令嬢はいらっしゃいませんから、目立つこととなりますでしょう」
「かわいいイリスの魅力が存分に出るデザインでお願いね」
「それでいて、動きやすく!」
「イリス! あなたはまだそんな」
「だってお母さま。武門の娘として登城するんだもの。その方が良いわ」
嘘である。
動きにくいドレスを、わざわざ新しく作りたくないだけ。
でも、お母さまは私の主張に納得してくれたみたい。
「それもそうね。クリノリンで随分と動きやすくもなるでしょうし、あとは」
「ここ! 袖のこの部分を膨らませて欲しいの」
何枚も重ねるペチコートの他に、もう一つ問題があるのだ。
それが、コルセット。
ウエストを細く見せるために、木のツルを何本も縒ったものや、動物の骨を組み込んだコルセットで上半身を締め付けるアレは、できれば付けたくない。
「コルセットも、できれば普段使ってる布を重ねた柔らかいものにしたいの。そのかわり、ウエストが細く見えるように、肘の前後を膨らませた袖にするのはどうかしら」
つまり、ウエストの横にボリュームのあるものを置いて「あれ、なんか細いな」と錯覚させる方法だ。
アホみたいなウエストの細さは、内臓がおかしくなるから不要でしょ。
「イリス……、あなた」