転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 あ、お母さまに怒られちゃうかな。なんか震えてるし。
 怒ったら怖いから、いないところで言えば良かったかなぁ。
 そんなことを思っていたら、抱きしめられた。

「お、お母さま?」
「あなたは天才だわ!」
「へ?」
「奥様のおっしゃる通りです」
「へ?」

 ジョニュア女史までがそう言い出し、部屋にいた侍女達やメイドも頷いている。
 どういうこと?

「このデザインも流行るでしょう。だれだって、あんなコルセットを着けたいなんて思わないもの!」

 お母さまの言葉に、やはり部屋中の女性が頷いている。
 あー、なるほどね。
 そりゃそうだわ。

 あれはブラジャーの代わりにもなっているとはいえ、苦しい。
 前世で、ウエストのガードルを試着したことがあったけど、現代医学に基づくデザインで作られたそれですら、苦しかった。

「じゃ、じゃぁお母さま。いっそ、我が領地で大々的にコルセットに代わる下着も売り出しましょう」

 こうして、私は新しく商売を始めることになってしまったのだった。
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