転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 そしてその一晩でご懐妊とは、なんとも強力な王家の子種ってことだ。
 おっと、下品になってしまった。反省。

「お母さま、それで側妃殿下は」
「なんでも一晩を共にさせられたときに、当時の王太子はすっかり彼女に夢中になってしまったらしく」

 それって、体を気に入ったってことでは……。やっぱりクソだ。

「どうにかそこから修道院へと逃げようとする彼女の荷物を取り上げると、伯爵家の家紋のついたペンが床に落ちて、身分がばれてしまって」
「そこから、側妃として召し上げられてしまったというわけですか……」

 思わず呆れた声で言ってしまったけれど、部屋の空気は私と同じ気持ちのようだった。
 と、いうか……。

 その王家、いる?
 滅っしてもよくない?
 側妃かわいそうすぎる。乙女ゲームにその設定、いる?!

「だからね、我が家はそういう意味も含めて側妃派なのよ」

 他にも理由はあるけどね、と小さく付け加えるお母さまに、皆が頷く。
 あれ、これ私もわかってる顔したほうが良いのかな。
 とりあえず、頷いておこう。
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