転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
「やだな、イリス。たった二年で僕の顔を忘れちゃったの?」
「そういうわけじゃないけど……なんか格好良くなってたから」
「それは行幸」
デリーはそう言うと、私の前に跪いた。
「えっ、なに?」
「イリス、手を」
言われるままに、彼の前に手を出す。
それをデリーがそっと取り、指先に唇を落とした。
その一連の流れがあまりにも色っぽくて、彼がまだ十二歳だということを忘れそうになる。
この世界の人間、成長が早すぎませんかね?
「イリス・エーグル辺境伯令嬢。どうかあなたの伴侶なることを、許可いただけませんでしょうか」
これは、この国の正式な求婚だ。小さい頃からいろいろな本で、何度も見てきた。
だからこそ、返し方も知っている。
触れている手をもう片方の手でしたから支え、頷くのだ。
そうしてこう返す。
「はい。この先永く、共に生きてまいりましょう」
その言葉をきっかけに、拍手が部屋中に広がる。
そうだった。
今この部屋には、家族も使用人もいるんだったわ。
私の返事を聞いて、デリーは顔をくしゃりと崩して笑った。
「良かったぁ。これで断られたらどうしようかと思ったよ」
「そういうわけじゃないけど……なんか格好良くなってたから」
「それは行幸」
デリーはそう言うと、私の前に跪いた。
「えっ、なに?」
「イリス、手を」
言われるままに、彼の前に手を出す。
それをデリーがそっと取り、指先に唇を落とした。
その一連の流れがあまりにも色っぽくて、彼がまだ十二歳だということを忘れそうになる。
この世界の人間、成長が早すぎませんかね?
「イリス・エーグル辺境伯令嬢。どうかあなたの伴侶なることを、許可いただけませんでしょうか」
これは、この国の正式な求婚だ。小さい頃からいろいろな本で、何度も見てきた。
だからこそ、返し方も知っている。
触れている手をもう片方の手でしたから支え、頷くのだ。
そうしてこう返す。
「はい。この先永く、共に生きてまいりましょう」
その言葉をきっかけに、拍手が部屋中に広がる。
そうだった。
今この部屋には、家族も使用人もいるんだったわ。
私の返事を聞いて、デリーは顔をくしゃりと崩して笑った。
「良かったぁ。これで断られたらどうしようかと思ったよ」