転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 大きな扉は開かれ、高い位置から美しい薄絹が幾重にも垂れ下がっている。
 その向こうには、煌びやかな光が溢れ、華やかなパーティ会場であることが伝わってきた。
 我が家の入場が告げられる。

 全ての貴族家が入場し終えると、ファンファーレが鳴った。
 王家の入場だ。
 皆が礼をして頭を下げる。

 私も「文句なし、完璧!」と家庭教師に太鼓判を押されたカーテシーをした。
 会場の上の方、数段高くなっている場所に人の気配がする。
 国王陛下方が並んだのだろう。

「楽にせよ」

 陛下の直々のお言葉だ。
 こういうのって、侍従とかが言うわけじゃないんだね。
 なんて思いながら頭を上げる。

「うぇ……?」

 思わず声が漏れてしまったけれど、慌てて飲み込んだので周りには気付かれていない。
 ギリギリ、ウェスタ兄さまには気付かれて、肘で小突かれてしまったけど。
 だって仕方ないじゃない。

 なんで王族の並びに、デリーがいるのよぅ!
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