転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない

第12話 デリーとのダンス

 何度もまばたきをしていると、デリーが私に微笑む。
 すると周囲から黄色い声があがった。

 どうやら彼は人気があるようだ。
 まぁ、美形だもんね。

 いや、そうじゃない。
 今あの王族の列にいるということは、彼が王族ということだ。
 まさか……。

「まさか、第一王子じゃないよね……」

 私の小さな呟きに、隣のウェスタ兄さまが驚いた顔をしている。
 え? どういうこと?

「今宵は、隣国アジェスティ王国との戦いを終えた祝いの宴だ。常に前線で戦い、常勝軍と言われ続けた我らが英雄であるエーグル辺境伯家に、栄光を」

 国王陛下がそう言って、ワイングラスを掲げた。
 どうにも、コイツがあのクソ男か、という目で見てしまう。
 あからさまに表情には流石に出さないけど。出したら不敬罪とか言われたら困るし。

 皆が乾杯をした後、国王陛下は尚も言葉を続けた。

「さて、今日はもう一つ良い知らせがある。──デルピニオ」
「はい」

 デリーが前に出る。へぇ。デリーってデルピニオっていうんだ。
 デルピニオ……デルピニオ……。

 まってまって!

 デルピニオって第一王子の名前じゃないのおおおおお!
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