転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 驚きのあまり平仮名になってるわよ。
 でもそうね。

 当日何かあれば動き回ることになるデザイナーや、メイドほどではなくとも、ある程度の動きやすさが必要な侍女達がクリノリンを着用することで、いかにあれが、軽くて動きやすいかをアピールすることはできる。

 そしてコルセット。
 今までは、締め付けながら「お嬢さま息してますか? 大丈夫ですか?」なんて会話が侍女とされるのが普通だったけれど、今、我が領の令嬢達はその会話から脱出しているらしい。

「このブラジャーという下着と、ウエスト周りにボリュームを付けたデザインのドレスで、わざわざ体を締め付ける必要がなくなった、と話題です」

 貴族令嬢は、そもそもそんなに怠惰な生活を送っているわけではない。
 異常なほどの姿勢の良さや、それを維持したままのカーテシー、ダンスの訓練。

 どう考えても、インナーマッスル鍛えまくりだ。
 コルセットなんて着けなくても、自分のマッスルセットでいけちゃうのに、内臓を苦しめる必要なんてない。

「これで派閥の女性陣が健康な体を得ていけば、良いことづくしです、お母さま」
「そうね。本当に、イリスは次期王妃としても素晴らしいわ」

 ……。
 …………。
 え?

「お、お母さま?」
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