転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
「もう少し待っててね。一緒に作り方を見て覚えておいて!」
「うん! 僕おかあさんとおとうさんのお手伝いできるようになりたい」
「偉いわね。じゃぁ、ゆっくりやるからね」

 あらかた肉に火が通ったところで、他の村の食材ではあるけど、ナッガネーギを斜めに切ったものを入れる。
 ナッガネーギに火が通ってくたっとしてきたら、そこに縦長に切ったキュウリナとトマティッレを投入。

「このナッガネーギやトマティッレは、なければ入れなくても大丈夫ですし、他のお野菜でもオッケー」

 そう言いながら、塩を入れる。あとはコクを出すために、サレモイ粉をぱらり。
 このサレモイ粉は、ソースと醤油の間のような味がする粉で、サレモイという木の実を細かく砕いたもの。
 ざざっと火を入れたらお皿に盛り付ける。

「さあ召し上がれ!」

 先ずはメーズルさんとその奥さん、そして周囲にいる奥様方が味を確かめた。
 誰もが一斉に表情を明るくする。もう、それだけで言葉はいらないよね。

 ここからはいつものパターン。
 味見をした奥様方が、周囲の子どもや男性陣に指示を出し、量産体制に入る。
 そして、全員揃っての味見となるのだ。
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