転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 集会所にずらりと並ぶお皿達。
 これがもっとゴージャスな場所なら、まるで映画の魔法学校の食堂みたいなんだろうな。
 でも、私にとっては、いまここは現実だけど魔法学校の食堂みたいな気分だ。
 
 全員で食べ始める。
 一口食べた後、誰もが勢いを増して口にかきこんでいくその姿は、初めて見たときから何度でも見たいと思い続ける光景だ。
 
 私とフェデルも一緒に食べる。
 こうして領民と一緒に食事をするのって、まさに「同じ釜の飯を食う」ってやつなのかもしれないね。

「お嬢さま、美味しいですねぇ」
「ほんと。我が領の食文化レベル、どんどん上がっていくといいわよね」
「もうすでに大分高いですけどね」

 フェデルの言葉に、笑い、そうしてまた口に運ぶ。
 ……これ、醤油とオイスターソースがあったら、もっと美味しいんだけどなぁ。
 醤油ができたらオイスターソースも作れるはずだし、やっぱり醤油と味噌、作らないとだね。
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