転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
「籠絡とはまた、穏やかではない言葉で」
「はは。でもまぁそんなとこだろ。派閥の女性を纏めるのも、大変ってことさ」

 男同士のそんな話に、私も頷く。

「その通りです。私にはまだできないことだけど、お二人にいつか学ばないと」
「イリスは別の角度から、しっかり貢献してると思うぞ?」
「メル兄さま」

 アレ兄さまの後ろから、メル兄さままで登場した。

「あの二人の得意分野と、イリスの得意分野は違うからな。適材適所ってところさ。ほら、あっちを見てみろよ」

 メル兄さまの視線の先には、テミー兄さまとウェスタ兄さまが、派閥のおじさま方と楽しそうに話をしている。

「あの二人は、じいさん達にかわいがられるのが得意だからな」
「なるほど……」

 うんうん、と頷けば、三人が笑う。

「イリスはそのままで大丈夫」
「もう。結局デリーも皆と一緒になって、私を甘やかすんだから」
「知らなかったのか? デリーは我が家の誰よりも、イリスを甘やかすってことを」
「メルクリウの言うとおりだな。こいつの甘やかし方は、激しい」
「そうかしら……」
「ま、気付いてないなら、幸せってことだよ」
「アレウス義兄上、メルクリウ義兄上、その辺で」
「おお怖。この辺で俺たちは退散しようか、メルクリウ」

 二人が離れると、デリーが私の体を一気に引き寄せた。

「デリー?」

 見上げれば、「ん?」なんて顔をして私を見る。

「デルピニオ様」
「なんだい?」

 私の後ろから、女性の声がした。
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