転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
第18話 デリーと石と学校と
収穫祭の日に捕らえられた女性は、正妃派の手の者だった。
「なんでわかったの?」
「え? なにが?」
翌日、デリーと領地がよく見えるテラスでお茶をしながら、私は彼に疑問を投げかける。
一口紅茶を飲み込んだデリーは、小首を傾げて笑った。
今日の彼は、シャツをラフに着て、襟元に小さなルビーの襟ピンを付けている。
こうした何でもない日の、何気ない部分にも、デリーは私の色を入れてくれるのだ。
私も紅茶を飲み込み、口を開く。
「彼女が正妃派の手の者だってこと」
「彼女の発音だよ」
「発音?」
「うん。わずかにセルート大公国なまりがあったんだ」
セルート大公国は、正妃の故国だ。
発音に関しては、本からは発音記号だけでしか学ぶことができない。
多言語話者になるために、今は教師についているけど、その分お手本のような綺麗な発音でしか、話せないから、なまりなどになると、お手上げだ。
「こちら側のパーティで、そんな発音をする人間がいるわけないからね」
そもそも、派閥のパーティで、第一王子とその婚約者に、無理に絡んでくる時点で不審者とも言えるのかもしれない。
彼女のドレスのポケットには、毒薬が入っていたので、私かデリーを狙っていたことは確かだ。
失敗したらそれを自分で服毒するつもりだったのだろうが、すぐに没収されている。
「来月から学校に通うことになるし、身辺には気を付けないとね」
「学校……かぁ」
「なんでわかったの?」
「え? なにが?」
翌日、デリーと領地がよく見えるテラスでお茶をしながら、私は彼に疑問を投げかける。
一口紅茶を飲み込んだデリーは、小首を傾げて笑った。
今日の彼は、シャツをラフに着て、襟元に小さなルビーの襟ピンを付けている。
こうした何でもない日の、何気ない部分にも、デリーは私の色を入れてくれるのだ。
私も紅茶を飲み込み、口を開く。
「彼女が正妃派の手の者だってこと」
「彼女の発音だよ」
「発音?」
「うん。わずかにセルート大公国なまりがあったんだ」
セルート大公国は、正妃の故国だ。
発音に関しては、本からは発音記号だけでしか学ぶことができない。
多言語話者になるために、今は教師についているけど、その分お手本のような綺麗な発音でしか、話せないから、なまりなどになると、お手上げだ。
「こちら側のパーティで、そんな発音をする人間がいるわけないからね」
そもそも、派閥のパーティで、第一王子とその婚約者に、無理に絡んでくる時点で不審者とも言えるのかもしれない。
彼女のドレスのポケットには、毒薬が入っていたので、私かデリーを狙っていたことは確かだ。
失敗したらそれを自分で服毒するつもりだったのだろうが、すぐに没収されている。
「来月から学校に通うことになるし、身辺には気を付けないとね」
「学校……かぁ」