転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 そう。来月から学校に通うことになる。
 この国では、貴族が十四歳から十八歳の間に最低一年間は通わないといけない学校がある。

 最低一年というのは、必要な単位を全て取れば最短で一年で卒業できるという意味。
 日本の乙女ゲームだというのに、秋始まりなので、変なところで外国かぶれしてるなぁなんて想ってしまった。

 その学校が、神さま曰く乙女ゲーム『ローズガーデンの乙女』の舞台らしい。
 正直、そのゲームが実行されちゃうと面倒くさいので行きたくないけど、国の決まりで行かないといけないから、ウェスタ兄さまやデリーと一緒に一年で卒業してさっさと帰領しようと思う。

「乗馬中に狙われてからは無事だったから、もう平気だと思ってたんだけどねぇ」
「あれは、婚約発表前にイリスを婚約者から外すことが狙いだったからね。でもイリスに連絡がないだけで、結構エーグル辺境伯家のねずみ取りには引っかかってるらしいよ」
「あらま。そうだったんだ」

 まぁ、私に告げても意味がないから、皆黙ってたんだろうな。
 私も教えて貰っても、どうにもできないから、そこは気にならない。
 
「ここではイリスは気にせずにいれば良いけど、王都となるとそうもいかないから、気を付けて」
「うん。私は皆程強くないから、気を付けないとなぁ」

 それでも、普通の令嬢よりは強いと思うけど。
 さすがに男性と比べようとはこの年になると思わないけど、侍女や女性の使用人達と比較しても弱いからなぁ。

「僕とウェスタがいるから」
「ふふ。安心ね」
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