転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない

第19話 乙女ゲームが始まる……のか?

 王都の学校に入学した。
 走竜があれば、王都と辺境伯領も一晩のうちに着いてしまうので、別に涙も別れも、悲壮感もない。

「イリスと離れるのは寂しけど、こまめに帰ってくるんだぞ」

 とは、全員を代表したお父さまの言葉。
 ウェスタ兄さまとデリーがいてくれるから、皆心配もないみたい。

「お爺さまとお婆さまにもきちんと顔を見せなさいね」
「はい、お母さま」

 週末、登城するときは、タウンハウスで身支度をしてから行くことになるだろう。
 さすがに登城するスタイルを、学校で雇ってる使用人に手伝って貰うわけにはいかないからね。

 学校の制服は、一人でも着られるいわゆるワンピース。これがまたかわいいんだよねぇ。
 グレー生地にチェックのワンピースで、前の合わせボタンの位置が少し左側に寄っている。
 アシンメトリーなのがオシャレ。

 襟元は二重になっていて、下側にフリルがついているの。
 袖口の返しも同じ布がついていてやっぱり二重の内側がフリル。
 華美な程ではないけれど、とても品があって素敵。

 私は学校でも変わらずひっつめ髪。とはいえ一応第一王子の婚約者という立場なので、ちょっとだけこう……無造作ヘアですわよオホホみたいな雰囲気をだしつつ、髪飾りをつけておく。これで問題ないはず……。

 そうして王都で入寮まで済ませ、いよいよ入学式。
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