転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
名乗らせておいて、こちらは名乗らずにクレオメガに返す。
失礼な人には、失礼な態度を返すのが私の方針だ。
誰にでも優しくしていたら、貴族社会では生き抜いていけない、ということをお母さまに教えて貰った。
アイオネは、私が誰かはわかっていないのか、顔を真っ赤にして、今にも文句を言いそうだ。ただ、クレオメガの邪魔になってはいけないと思って、我慢しているのだろう。
「そうよ。さっき第二王子殿下があなたを見ていたでしょう? それなのに挨拶に伺わないだなんて」
「学校則に『校内では身分を振りかざすべからず』とありますが」
「なっ。身分を振りかざしているわけではなく、ご挨拶は人として」
「であれば、尚更。挨拶してほしいのなら、してほしい側が、来るのが『人として』当然では?」
軽く肩を上げて言い返せば、彼女は絶句している。
きっと、今まで自分の発言に言い返してくる人なんていなかったのだろう。公爵令嬢だし。
でも、社交界に出たら相手が公爵家の人間であろうと、いろんな言い回しで言い返してくる人はいるだろうにねぇ。
「イリス! どうした? 何かあったのか?」
「ウェスタ兄さま」
「なかなか戻らないから、心配したよ」
「デリー、だからって後ろから抱きつく必要があるかしら」
二人の登場に、私と対峙していた令嬢は思わず数歩後ずさりをする。
ちらりと彼女達を見たデリーは、興味なさそうに笑った。
「僕の婚約者に、何か用かな? ワストル公爵令嬢。キュノの近くにいなくていいのかい? 何やらご令嬢達に囲まれていたよ」
「な、なんですって。しっ、失礼するわ」
一応、デリーに対してはきちんとカーテシーをしてから、去って行った。わかりやすい女性だなぁ。
「イリスもクラスに戻ろうか。デリー、後ろから抱きついてないで、エスコートしろ」
「ああ。彼女に何を言われたんだ?」
失礼な人には、失礼な態度を返すのが私の方針だ。
誰にでも優しくしていたら、貴族社会では生き抜いていけない、ということをお母さまに教えて貰った。
アイオネは、私が誰かはわかっていないのか、顔を真っ赤にして、今にも文句を言いそうだ。ただ、クレオメガの邪魔になってはいけないと思って、我慢しているのだろう。
「そうよ。さっき第二王子殿下があなたを見ていたでしょう? それなのに挨拶に伺わないだなんて」
「学校則に『校内では身分を振りかざすべからず』とありますが」
「なっ。身分を振りかざしているわけではなく、ご挨拶は人として」
「であれば、尚更。挨拶してほしいのなら、してほしい側が、来るのが『人として』当然では?」
軽く肩を上げて言い返せば、彼女は絶句している。
きっと、今まで自分の発言に言い返してくる人なんていなかったのだろう。公爵令嬢だし。
でも、社交界に出たら相手が公爵家の人間であろうと、いろんな言い回しで言い返してくる人はいるだろうにねぇ。
「イリス! どうした? 何かあったのか?」
「ウェスタ兄さま」
「なかなか戻らないから、心配したよ」
「デリー、だからって後ろから抱きつく必要があるかしら」
二人の登場に、私と対峙していた令嬢は思わず数歩後ずさりをする。
ちらりと彼女達を見たデリーは、興味なさそうに笑った。
「僕の婚約者に、何か用かな? ワストル公爵令嬢。キュノの近くにいなくていいのかい? 何やらご令嬢達に囲まれていたよ」
「な、なんですって。しっ、失礼するわ」
一応、デリーに対してはきちんとカーテシーをしてから、去って行った。わかりやすい女性だなぁ。
「イリスもクラスに戻ろうか。デリー、後ろから抱きついてないで、エスコートしろ」
「ああ。彼女に何を言われたんだ?」