転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない

第20話 やだ。私、悪役令嬢じゃなくてヒロイン枠?

 ウェスタ兄さまが、私と彼の間の位置にポジションを取る。

「あぁ、何も危害を加えるつもりはないから、安心して。ウェスタ・エーグル」

 さすがに王族にそう言われてしまっては、ウェスタ兄さまもそれ以上のことは何もできない。

「初めまして。ご挨拶申し上げます。イリス・エーグルです」

 学校内なので、敢えて家名は言わずに名乗る。下手に家名を名乗ってしまえば、相手を第二王子として遇さないといけなくなるからね。
 こちらにはそのつもりがないことを、暗に告げれば、彼は小さく頷く。意図が伝わったようで何よりだ。

「俺はキュノ・ハッグス。君の婚約者の弟だ」
「それで、どういったご用件で?」
「クラスメイトに挨拶するのに、用件が必要かな?」
「そう思わせる何かがありますでしょう」

 にっこりと笑い返せば、彼は面食らったようだった。
 さきほどのクレオメガと同様に、彼も真綿で包まれて育てられているのか。

「気に入った。お前、俺の側室にしてやろ……ぐっ」
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