転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
 少女漫画で良く見るヤツ! そうなると、私がヒロインになっちゃうな。困る。
 いや、そもそも、私は第二王子に全く以て興味がないんだけどさ。

 それに、さっきから彼の婚約者の公爵令嬢ちゃんの視線が痛いんだよねえ。
 私別にコイツに興味ないから、さっさと引き取ってくれないかなぁ。

「デリー」
「ん? なに、イリス」
「もう帰ろうよ。今日はこの後図書館に行きたいし」
「そうだな!」

 私がそう言えば、デリーがぱっと明るい顔で笑う。
 うんうん、やっぱりデリーは笑顔が良いわね。
 
「キュノは、あちらのご令嬢方と仲良くしてれば良いだろ。行こう、イリス、ウェスタ」
「では失礼します」
「皆様、また明日お会いしましょうね」

 ウェスタ兄さまと私も、第二王子と皆さんにご挨拶をして、三人で部屋を出る。
 今後はそうそう全員揃うことはないだろうけど、ちょっと面倒だなぁ、なんて思ってしまった。

   ***
 
「うっわぁぁぁぁ」

 大きな小声で、思わず感嘆する。ん? 矛盾してるって? でも伝わったでしょ。

「さすが学校の図書館。まだ読んだことがない本がたくさんあるわ」
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