転生したガーデナーは、悪役令嬢の夢を見ない
「僕の婚約者がどんな女性か、知りたかったんだろうね」
「私がデリーの婚約者だとわかってて、側妃になれと言い出したってこと?」
「多分ね。まぁそうじゃなかったとしても、イリスは魅力的だからね」
「それはデリーにとって、でしょ。それで十分なんだけどさ」
今日は虫に関する本を借りることにした。手に取った本のタイトルに、デリーがぎょっとした顔をするのが、実はちょっとかわいいな、なんて思ってしまったのは、彼には内緒だ。
「イリス……。『虫の種類と対策』『ホノ虫とホナ虫の違い』『毒虫の習性』『ヨトガイ虫とは』『虫の宿命』……全部虫の本なのか」
「そうよ。今日は虫についてまとめて読んでしまおうと思って」
同じジャンルのものを纏めて読むと、ある程度体系的に理解することができるからね。
そこから、違うジャンルを読むと、また新しい発見もある。
「第一女子寮のイリス・エーグルの部屋までお願いします」
ワゴンをデリーがカウンターまで運ぶ。
その寮とタイトルに、一瞬司書はぎょっとした顔を浮かべるが、すぐにメモを起こす。
「間違いなく承りました。えぇと……六十七冊、ですね」
「ええ。返却はどうすれば?」
「纏めてお願いしたいので、読み終えたらこちらにお声がけください。引き取りに伺います」
「ありがとうございます」
このペースでいけば、一年もしないうちに、学校の図書館の本も読み切れるだろう。王城の図書館も楽しみだし、変な男──第二王子には寄りつかずに、平穏無事に過ごしていこうじゃないの。
なんて、思ってたんだけどなぁ。
「第二王子殿下に近寄らないで」
まさか、寮でまで絡まれるとは思ってもいなかったのよ。
「私がデリーの婚約者だとわかってて、側妃になれと言い出したってこと?」
「多分ね。まぁそうじゃなかったとしても、イリスは魅力的だからね」
「それはデリーにとって、でしょ。それで十分なんだけどさ」
今日は虫に関する本を借りることにした。手に取った本のタイトルに、デリーがぎょっとした顔をするのが、実はちょっとかわいいな、なんて思ってしまったのは、彼には内緒だ。
「イリス……。『虫の種類と対策』『ホノ虫とホナ虫の違い』『毒虫の習性』『ヨトガイ虫とは』『虫の宿命』……全部虫の本なのか」
「そうよ。今日は虫についてまとめて読んでしまおうと思って」
同じジャンルのものを纏めて読むと、ある程度体系的に理解することができるからね。
そこから、違うジャンルを読むと、また新しい発見もある。
「第一女子寮のイリス・エーグルの部屋までお願いします」
ワゴンをデリーがカウンターまで運ぶ。
その寮とタイトルに、一瞬司書はぎょっとした顔を浮かべるが、すぐにメモを起こす。
「間違いなく承りました。えぇと……六十七冊、ですね」
「ええ。返却はどうすれば?」
「纏めてお願いしたいので、読み終えたらこちらにお声がけください。引き取りに伺います」
「ありがとうございます」
このペースでいけば、一年もしないうちに、学校の図書館の本も読み切れるだろう。王城の図書館も楽しみだし、変な男──第二王子には寄りつかずに、平穏無事に過ごしていこうじゃないの。
なんて、思ってたんだけどなぁ。
「第二王子殿下に近寄らないで」
まさか、寮でまで絡まれるとは思ってもいなかったのよ。