気まぐれなアラクレモノ
序章
──まずいまずいっ……まずい……!!
複数のヤンキーに追われ、入った路地は
お約束の"行き止まり"で──
壁に背がついても、後ろへともがく。
「来ないで!」
鞄を投げたところで状況はなにひとつ
変わりやしない。
ニヤつきながら伸びてくる手……
何も術がない──
「……女がここで何してんの?」
頭上からした声の主は壁の上から飛び降り、ヤンキー共を軽くのす。
「ありが──」
助かった……
身なりは派手そうに見えるけど
いいヒト──
「勘違いしないでもらえる?通行の邪魔なだけ」
ではなく、
気まぐれなアラクレモノだった。
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