婚約者様、「君を愛することはない」と貴方が乗り込んできたせいで私と貴方の魂が入れ替わってしまったではないですか!責任を取ってください
「し、死!?」
「わからないのか。これは国家レベルの機密事項だぞ」
「お父様!?」
たった今、秘密を守れないと言ってた彼にそこまでバラしちゃうの!?
「ローレンス殿、この国が隣国との戦争を終えて平和条約を締結して久しいが、これが他国に漏れたらどうなると思う?」
「良い事じゃないですか! リディア嬢の悪い噂は払拭され、他の国の夢幽病患者も救われます!」
「表向きはな。忘れてはならないのは夢幽病患者は皆魔力が並外れて高いということだ。例えば炎属性など、攻撃的な魔力を持つ者がまだ年若いうちから病状が安定すれば、そこから魔法を磨くことに専念できる。……数年後には殺戮マシーンの誕生だ」
「!!」
「それだけじゃない。リディアは精神系魔法の使い手だ。これが表沙汰になれば娘は治療薬の作り手として、そして他人の魂を肉体から剥離させる暗殺者候補として、各国から狙われる。もし夢幽病になった者がいればリディアの仕業と濡れ衣を着せられる可能性すらあるのだぞ」
お父様、流石! これなら一番の秘密は伏せたままローレンス様を懐柔できそう。……でもそんな怖い事まで考えていたのね。まっ、私は薬の研究がしたいだけだから汚名を濯ぎたいたいとか、ましてや暗殺なんて大それた事は考えもしなかったけれど。
「しかし、それでは他国の夢幽病患者が気の毒では……」
ローレンス様の人柄がわかるような言葉に、お父様は眉間のシワをフッと緩めた。
「夢幽病は元々我がオーク伯爵家の人間以外は滅多に出ない奇病だ。もし他国から相談があれば王家を通じて薬草の効果を伝えるか、場合によっては治療薬も都合する。だがその交渉は我々がでしゃばってする事ではない。この家の者は無駄な混乱や争いを生まぬ為に目立たぬべきなのだ」
「……」
「おわかりいただけたかな。リディアの為に死ぬ気でこの秘密は守って貰う。一生だ」
ローレンス様はスッゴいブスな顔で(私の顔を歪めないでよ! おでこのシワがクセになったらどうするの!)、こくりと頷いた。
「わからないのか。これは国家レベルの機密事項だぞ」
「お父様!?」
たった今、秘密を守れないと言ってた彼にそこまでバラしちゃうの!?
「ローレンス殿、この国が隣国との戦争を終えて平和条約を締結して久しいが、これが他国に漏れたらどうなると思う?」
「良い事じゃないですか! リディア嬢の悪い噂は払拭され、他の国の夢幽病患者も救われます!」
「表向きはな。忘れてはならないのは夢幽病患者は皆魔力が並外れて高いということだ。例えば炎属性など、攻撃的な魔力を持つ者がまだ年若いうちから病状が安定すれば、そこから魔法を磨くことに専念できる。……数年後には殺戮マシーンの誕生だ」
「!!」
「それだけじゃない。リディアは精神系魔法の使い手だ。これが表沙汰になれば娘は治療薬の作り手として、そして他人の魂を肉体から剥離させる暗殺者候補として、各国から狙われる。もし夢幽病になった者がいればリディアの仕業と濡れ衣を着せられる可能性すらあるのだぞ」
お父様、流石! これなら一番の秘密は伏せたままローレンス様を懐柔できそう。……でもそんな怖い事まで考えていたのね。まっ、私は薬の研究がしたいだけだから汚名を濯ぎたいたいとか、ましてや暗殺なんて大それた事は考えもしなかったけれど。
「しかし、それでは他国の夢幽病患者が気の毒では……」
ローレンス様の人柄がわかるような言葉に、お父様は眉間のシワをフッと緩めた。
「夢幽病は元々我がオーク伯爵家の人間以外は滅多に出ない奇病だ。もし他国から相談があれば王家を通じて薬草の効果を伝えるか、場合によっては治療薬も都合する。だがその交渉は我々がでしゃばってする事ではない。この家の者は無駄な混乱や争いを生まぬ為に目立たぬべきなのだ」
「……」
「おわかりいただけたかな。リディアの為に死ぬ気でこの秘密は守って貰う。一生だ」
ローレンス様はスッゴいブスな顔で(私の顔を歪めないでよ! おでこのシワがクセになったらどうするの!)、こくりと頷いた。