好きを教えて、生意気なきみ

【第1話】あたしの王子様に彼女!?

「俺たち…別れよっか」



そう言われたのは高校2年生になってすぐの月曜日。



これで小学校から数えて13人目だ。



今度こそ続くと思ったのに…。



あたしは離れていく彼をただ目で追うしかなかった。



あたし、霜月 陽鞠(しもつき ひまり)



自分で言うのもなんだけど、恋多き女です。



好きって言われたらすぐ好きになっちゃうし、かっこいい人がいたらすぐ気になっちゃう。



容姿は悪くない方だと思う。



茶髪のロングにそこそこのメイク。



平均よりも低い身長と、父親から受け継いだ童顔。



はっきり言って、結構モテる。



だから色んな人と付き合っては、振ったり振られたり。



今回は振られちゃった…。



『なんか違った』だってさ。



彼とは4か月前に付き合い始めたばっかりだった。



隣のクラスの、比較的目立つグループにいるサッカー部の彼。



あんまり話す機会はなかったけど、友達とカラオケで遊んでるときにたまたま一緒になって、「前から気になってたんだよね」と言われてそのまま付き合った。



彼はあたしに優しくしてくれたし、デートも色々した。



うーんでも、ダメだったか…。



申し訳ないけど、あんまり落ち込みはしなかった。



嫌いじゃなかったけど、やっぱり「大好き!」にはなれなかったもんなー…。



だってあたしには憧れの王子様がいるんだもん…。



「偶然だね、今帰り?」

弥玖(ひさく)~! ねえ聞いてよ、振られちゃった~」

「あらら、残念だね」



3個上のいとこの暮名(くらしな) 弥玖。



弥玖があたしの憧れの王子様だ。



3歳のときからずっと弥玖のことが大好きだった。



そうは言っても子供の恋愛で、それからもころころと好きな人が変わったりしてたんだけど。



それでも心の中にはなんだかずっと弥玖がいた。
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