好きを教えて、生意気なきみ

【第3話】真打登場!

それからも渚とは週に一度、一緒に図書委員を続けて。



あれからは特に何もないけど…。



あ、でも、あたしの勧めた『渚』が結構よかったみたいで、毎週おすすめの本を紹介するようになった。



渚は本を読むのが早くて、すぐに読み終わってしまう。



あたしはそんな渚に次は何を勧めようか考えるのが毎週の楽しみになっていた。



「陽鞠! 今週のやつ超やべえな、めっちゃハマった」



あたしのことを『陽鞠』と呼び捨てにするこいつは、相変わらず失礼なやつだけど…。



こうやって本の感想を伝えにきてくれるときはかわいげもある…。



そんな今日は、文化祭です!



学校は不思議な高揚感にあふれている。



もちろんあたしも興奮気味。



茜とお揃いのお団子結びなんてしちゃってる。



「図書委員って何かやるの?」



茜に聞かれる。



「ううん、なんか本と紹介文のポップを展示するだけだよ」

「なーんだ。渚となんかラブイベントでも発生するかと思ったのに」

「しないよそんなの!」



茜は何かとあたしと渚をくっつけようとしてくる。



たしかにこの前電車でドキッとしちゃったのは本当だけど、それ以外には本当に何もない。



渚となんてありえないよ!



優しいときが2だとしたら生意気なときが8だもん。



あたしは優しい人が好き!



クラスでの出し物は、クラスのやる気がなさすぎて、休憩スペースになった。



その分ほかを周れるからいいけどね!



茜と腕を組んで校内を徘徊する。



「どこ入る~?」

「うーん、こことか」



そう言って、お化け屋敷を指さす。



茜が「え~? 怖いのやだ~」と拒否した。



まあいいか、次行こう。



そのとき…。



「おー、陽鞠」



声がした。



見ると…渚だ。
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