好きを教えて、生意気なきみ
「何その恰好~!」



渚はシャチの着ぐるみを着せられてた。



「おもしろーい」



そう言ってあたしは渚を激写。



「なんでそんな恰好してるの?」

「うちのクラス、水族館カフェやってんだよ。宣伝で歩かされてる…」

「水族館カフェ!? おもしろいね」



そのとき、茜があたしに「誰?」とささやいてきた。



なんかめんどくさそうだな…と思ったけど、正直に「渚だよ」と教えてあげた。



案の定、茜の顔が輝く。



「あなたが渚ねー! へ~、イケメンじゃん」

「何この人…」



渚がシャチのヒレで渚のことを指さす。



あたしはそのポーズがおかしくて、また写真を撮った。



それから、茜がハタ!と何かに気づいた顔をした。



なんか嫌な予感…。



「渚くーん、陽鞠がね、ど~~してもお化け屋敷に入りたいって言うの。でもあたし怖いの苦手だからさ…一緒に入ってあげてくれない?」



茜がそう言って渚にすり寄った。



も~…。



なんで渚と一緒にお化け屋敷入らないといけないのよ!



絶対嫌だからね!



渚も同意見らしく、「なんで俺が」と拒んでいる。



でも、茜も押しが強く、「いいじゃん、お願い!」と言って、あたしたちの背中をぐいぐいと押した。



「はい、入る方には懐中電灯渡してます~」



お化け屋敷のクラスの人が、そう言ってあたしたちに懐中電灯を渡した。



もう断れない…。



「しょうがねえな…すぐ出るからな!」

「のぞむところ!」



開かれる教室に、とりあえず一歩踏み出した。



中は薄暗くてあんまりよく見えない。



って、なんか踏んだ!



「ぎゃ!」



血まみれの手~…。



やっぱ怖いかも~…。
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