好きを教えて、生意気なきみ
『ドンドンドンドン!』



床を叩く音が急にきこえてきた。



「きゃー!」

「わー!」



渚と思わず抱き合う。



って…あれ?



「渚…こういうの苦手?」

「…」



そうなんだ!



意外!



渚の弱点に気をよくしたあたしは、渚の手首をシャチの衣装越しにつかんだ。



「ほら、こんなとこすぐ出るんでしょ」

「いやいや…絶対そこなんか出るって…」



めっちゃ怖がりじゃん!



歩くのもめっちゃ遅いし…。



かわいいところもあるもんだ。



って…



「ぎゃーーー!」

「ほら言っただろーー!!!」



脇からなんか落ち武者が出てきたよー!!



2人でワーワー言いながらなんとか出てきた。



「おかえりー…って、なに~手つないでんじゃーん」



茜がにやにやと寄って来た。



手!?



ほんとだ、つないでた!



あたしはバッと手を離す。



「どうだった?」

「高校の文化祭と思えないくらい怖かった…」



もう入らない!



渚を見ると、渚もげっそりとした顔をしている。



「じゃあな…俺たちのクラスもよろしく…」



そう言ってげっそりとしたままあたしたちに背を向けた。
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