好きを教えて、生意気なきみ
「よろしくだって」

「知らない…」

「行こう」

「行かない!」



興味はあるけど茜と一緒に行ったらなにされるか分かんないじゃん!



でもそのとき、スマホをちらっと見た茜が「え!」と立ち上がった。



「どうしたの?」

「なんか…好きピがうちの文化祭来たって…」

「えー! 良かったじゃん!」

「行ってきていい!?」

「いいよ、すぐ行きな!」



茜があたしを置いて慌てて昇降口に走って行った。



がんばれ~。



茜も、人のこと勝手にくっつけようとするけど自分の恋には真剣だ。



他校の男の子が好きなんだって。



でもわざわざうちの文化祭に来るなんて、脈ありな感じ?



良かった良かった…。



にしても…。



親友の恋路がうまくいきそうなことに喜んだはいいものの、暇だな…。



図書室でも行こうかな…。



一人になってしまったあたしは図書室に向かった。



図書室は、文化祭の喧騒とは裏腹に静まり返ってる。



一応あたしたちも文化祭用に展示してるんだけどな~。



っていうか担当の図書委員の人いないし…。



しょうがないからしばらくいるか…。



あたしは暇なので、一人ひとりの紹介ポップを順番に見ていく。



そのとき、教室に一人の男の人が入ってきた。



ふわふわパーマで、あたしより頭一つ身長が高いくらい?



3年生かな?



「どうも~…」



一応声をかける。



その先輩は、あたしを見てにこっと笑った。



かわいい笑顔!



なんとなく弥玖を思い出させる人だ…。



先輩はゆっくりとあたしたちの展示を見ている。



こんなに真剣に見てもらえてうれしいな…。



それから、展示の中から数冊持って、「これ、借ります」と言った。



へ~、本好きなんだ。



こんな先輩いたかな?



図書室の常連は結構覚えてる方だと思うんだけど…。
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