好きを教えて、生意気なきみ
「なに?」



振り返ると、掲示板。



よく見てみると、『渚』の作者に関する展示をする図書館のイベントの案内だった。



期間は今日まで。



図書館の閉館まではあと2時間。



行きたい!



「渚、行こ!」

「ちょ、なんで俺まで…」



渚の腕を引っ張って図書館までの道を急いだ。



こういうのは同じように好きな人と一緒に見に行くのがいいんだから。



図書館に着いて、案内のパンフレットを受け取った。



展示はそんなにたくさんはなくて、本や詩集が並べて置いてあって、その本を書くにあたった背景などが説明してあった。



渚も結構真剣に見てる。



いいねいいね。



穏やかに流れる時間がなんだか心地よかった。



一通り展示を見たあたしたち。



「渚ってあたしが勧める本以外も読むの?」

「元から読書は嫌いじゃなかったからな。最近はお前が勧めるのしか読んでないけど」

「渚の好きな本も教えてよ」

「いいよ」



やった。



人の勧める本を読むのも結構好きなんだよね。



その人ともっと親密になれるような感じ。



2人で図書館をうろうろした。



「これとか~、あ、これも結構好き」



純文学に時代小説。



結構色々読むんだね。



「これは小学生のとき読んでたな」

「あ、あたしもー! これ超面白いよね。今読んでも結構イイんだよ」



児童書の推理小説。



渚が手にとってぺらぺらとめくった。



「この探偵がいいんだよな~」

「そうそう、あと探偵の助手もいい味出してるよね」

「俺この助手に憧れて将来の夢の作文に探偵の助手って書いたことある」

「なにそれ! 探偵じゃなくて助手の方なんだ」

「当時の俺には助手がヒーローだったんだよ」
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