好きを教えて、生意気なきみ
「そういえば、土曜日クラスの人たちと遊んだよ」

「えー!ほんとですか!」

「うん、なんかカラオケとか行った」



おおお!



尚先輩がようやく友達を手に入れた!



あたしの頭の中にRPGの画面が浮かぶ。



「友達できましたね!」

「ね~! うれしい」

「でもあたしとも友達辞めちゃダメですよ! 1回できた友達はずっと友達!」

「あはは、陽鞠ちゃんって本当かわいいよね」



かわいいって言われちゃった。



あたしが照れてたら、急に後ろからぐっと襟を引かれた。



なに!?



見上げると、渚…。



「お、おはよ~」

「はよ」

「どうしたの…?」



渚はそれには答えず、あたしと尚先輩の間に入って、尚先輩の方を向いた。



「俺とも友達ですよね?」



な、なにこれ…?



それが言いたくて朝からあたしの首を絞めてきたの…?



苦しかったんですけど…。



「うん、渚くんとも友達!」



先輩はニコニコしてるけど…。



教室に着いてから茜に渚の不可解な行動について話してみた。



「それ絶対あんたのこと好きだよ」

「ええ!? ないよ絶対」



茜が足を組んで頬杖をついた。



「だって陽鞠との思い出の本貸したくなかったんでしょ? 嫉妬じゃん」

「え~?」

「今朝だってその先輩と仲良くしてたの見てヤキモチ焼いたんじゃないの?」



そうかなあ…。



あの渚があたしのこと好きなんて全然思えないけど…。



そんな素振りまったくないし…。
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