好きを教えて、生意気なきみ
「あんたどうしたの? 今までだったらすぐ『そうかも!』なんて言って簡単に自分も好きになって告りに行ってんじゃん」

「あたしそういうのもうやめたの。やめたっていうか…ならなくなった」

「え~どうしちゃったの」



茜にこの前の話をした。



一通り聞いた茜。



「なるほどね~」

「だからもう心の(おり)が取れたっていうか…」

「もう純粋に弥玖くんのこと追うことにしたんだ」

「うーん? まあそうなのかな…?」



弥玖とどうこうなりたいっていうわけでもないけど。



でももっと一途でいようと思ったんだ。



「にしても、渚もやるね…」

「なにが?」

「泣いてる女に自分の胸貸すなんて相当やり手だよ」



まあ正確には胸じゃなくてお腹だけど…。



たしかに…。



年下なのにあたしより大人な感じ…。



「じゃあもう陽鞠のコロコロ人を好きになるのはおしまいってわけ?」

「そうだね」

「なーんだ。渚といつどうこうなるのか楽しみにしてたのに」

「楽しみにしてたのは奢られるのをでしょ…」



あたしは茜のおもちゃじゃないんだからね!



茜はケラケラ笑ってる。



でも茜って本当いい友達だよね…。



この前の佐々木くんみたいに、あたしの恋愛しすぎな面を悪く言う人もいるのに、逆に面白がってくれるし…。



「そういえば茜って好きな人とどうなったの?」



茜は文化祭のときに好きな人と一緒に回ったあと、夏休みにもデートしたらしい。



塾の友達って言ってたけど。



「実は…昨日付き合いはじめましたー!」

「えー! 言ってよ~! おめでとう!」

「だって今日言おうと思ったら朝からあんたがモテ自慢してきたからさ~」

「ごめんって~…」



え~嬉しいな!



茜に彼氏ができるのは1年ぶりくらいかな?
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