好きを教えて、生意気なきみ
「ただいま~!」

「おかえりー、楽しかった?」



久しぶりの家。



4日も家を空けることがないから、なんだかとっても懐かしく思えた。



おみやげたくさん!



「はい、これはお母さんので、こっちがパパね。あ、風里にはこれ買ってきたよ」



そう言って家族におみやげを渡していく。



それからこの人にも…。



「はい、おみやげ!」

「ありがと」



修学旅行明け、金曜日の図書委員。



渚に満面の笑みで首里城のミニチュアの置物を渡すあたし。



「センスねえな」

「あたしも同じの買ったからあたしとお揃いだもんね」

「司書室に飾っとくわ」

「家に飾ってよ!」



なんてやり取りはいつものこと。



今日も図書委員は楽しいです。



それから、図書室に遊びに来た尚先輩にはシーサーのキーホルダーをあげた。



黙ってニコニコしたままそれを受け取った先輩からは、やっぱり『センスないな』という気持ちが読み取れる。



先輩は「ありがと、カバンにつけるね」と言ってくれた。



「無理にしなくていいですよ…」

「気持ちがうれしいからね」



そうだよね!



気持ちが重要!



そのまま先輩は帰って行った。



「あーあ、かわいそうに」



渚が先輩の後ろ姿を見て言う。



「なにが?」

「後輩の気持ちを無碍(むげ)にできなかった先輩の末路が…」

「渚もちゃんと家に飾るんだよ」

「嫌だよ…」



でもそう言いながらちゃんとカバンにしまってくれた。



まあ家帰ってから押し入れにしまわれちゃうかもだけど…。



司書室に置きっぱなしにされなかっただけよしとしよう。



っていうか、もう少しで1学期の図書委員も終わりなんだよね…。



あたしは2学期も続けるつもりでいるけど、渚はどうかな…。



「渚?」

「なんだよ」

「…なんでもない」



なんか聞くのが怖いな。



2学期はやるつもりないなんて言われたら結構ショックかも。



あたし的には楽しくやってたつもりだから…。



それから今日の図書委員も終えて、いつも通り渚と一緒に帰る。



ちらちらと渚の顔を伺ってみるけど、なんで!? 聞き出せない…。
< 34 / 75 >

この作品をシェア

pagetop