好きを教えて、生意気なきみ
「今日お前変だな」

「へ!? 変じゃないよ」

「修学旅行で浮かれ過ぎた?」

「そ、そうかも~…」

「ははっ、浮かれ過ぎて次のテストも赤点取んなよ~」

「が、がんばるもん!」



なんか挙動不審…。



ぜんぶ最初の言葉を2回繰り返して返事してる…。



結局聞き出せないまま家に帰った。



「ただいまー」

「おかえり~」



今日は家にパパがいた。



パパは料理人だからほとんど休みは平日だ。



「お土産でもらった海ブドウ、常連さんに特別メニューとして出したらすごい好評だったよ~」

「ほんと? 良かった~」



パパは、強気なタイプのお母さんと違ってかなり温厚。



いつものほほんとした顔をしていて、あたしは大好きだ。



「明日弥玖のところにもお土産持ってくんでしょ? ついでにあれも持って行ってくれる?」



パパがキッチンにあるタッパーを指さした。



たまにこうやってパパが作った料理を弥玖の家に持ってくんだ。



「これは?」



あたしはタッパーの隣に置いてある何本かの缶のお酒を指さした。



「あ、それもお願い。今日常連さんからたくさんいただいたから」

「わかった~」



弥玖とは、あのあとも何回か会ってる。



気まずいのはあたしだけで、弥玖はいつも通りニコニコしてるから、もうあたしも気まずくなくなったけど…。



でも会うのは今でも楽しみ。



やっぱり弥玖のことが大好きなんだな…。



そして次の日の昼過ぎ、あたしは修学旅行のお土産とパパから預かってきた食べ物たちを持って弥玖の家に出かけた。



ピンポーン



弥玖の家のインターホンを鳴らすと、≪はーい≫と弥玖のお母さんの玖麗(くれい)ちゃんが出た。
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