好きを教えて、生意気なきみ
「あ、あの~…間に入って悪いんだけどさ」



あたしがそう言って恐る恐る弥玖に聞く。



「弥玖って…彼女いるの?」

「うん? いるよ」



う、うそでしょ~~!?



そんな…。



うそでしょ…。



「い、いつから…?」

「うーん、3年前くらいかな~」



3年前!?



あたし全然知らないんだけど!?



「なんで教えてくれなかったの…?」

「ははっ、わざわざいとこに言わないでしょ」



相変わらずニコニコした顔でそう言う弥玖。



撃沈…。



うわ~ん…。



絶望しきったあたしは、そのあとの会話は全然頭に入ってこなかった。



次の日もあたしは立ち直れない…。



「どうしたどうした、朝から負のオーラがすごいよ」

(あかね)~…。あたし次の授業サボる…」



こうなりゃヤケ酒だ!



友達の茜に背を向けて、あたしはトボトボと屋上へ向かった。



へへ、家からお酒盗んできちゃったもんね…。



学校でお酒なんか飲んじゃって不良になっちゃうもんねー!



「うわ~ん、弥玖のせいだ~~!」



そう言って泣きながら甘い味の缶のお酒を一人でぐびぐびと飲んだ。



そのとき…。



「うるさ…」



頭上から声が聞こえた。



え!? だれ!?



あたしはとっさにお酒を背後に隠してきょろきょろと辺りを見回した。



「泣くなら別のとこにしてくんない?」



そう言う声の主をたどると、校舎から屋上に出るための階段とつながった小屋?の上に黒髪の顔の整った男の子がいた。



その男の子はそこで寝ていたみたいだった。



片耳のピアスが太陽に反射する。



あくびをしてからあたしのことを見て、「うわ~、酒飲んでんじゃん…」と呆れた顔をした。
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