好きを教えて、生意気なきみ

【第7話】気持ちの正体

あれからあたしは渚を避けるように生活し始めた。



登校中に渚を見かけたらできるだけゆっくり歩いて追いつかないようにして、学校の中でも向こうから歩いてくるのを見たら引き返したり。



渚からは連絡が1回。



『どういうつもり?』



メッセージで来たそれは既読無視した。



ごめんなさいごめんなさい…。



っていうかあたし性犯罪者!?



酔った勢いで同意もなしに勝手にキスするなんて完全にセクハラだよね!?



訴えられる…?



あたしの頭の中で逮捕されるイメージが沸き上がる。



うわ~~、本当に、なんてことしたんだ!!



なんであんなことしたんだろう…。



あの日のことを思い出す。



だって、なんだか心がドキドキして、渚に見惚(みと)れて…。



そのまま気が付いたら…。



って…うわ~恥ずかしい!!。



両手を頭の上でブンブン振る。



「…なにやってんの?」



茜に不信な目を向けられてしまった。



茜にはあの日のことはまだ話してない。



だって話したら何言われるかだいたい分かるし…。



でも一人で抱えきれない!



観念して茜に話すことにした。



「…なにやってんの?」



すべて話すと、茜にさっきと同じことを全然違うニュアンスで言われた。



「なにやってるんでしょう…」

「好きなの?」

「好きじゃない!」

「好きじゃないの?」



す、好きじゃない…もん…。



これはいつもの病気!



あたしの恋愛病だ!



「そういうの辞めたんじゃなかった?」

「や、辞められてなかったみたい…」
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