好きを教えて、生意気なきみ
だからって、いつもの恋愛病だとしたら、すぐ冷めるこの気持ちは、渚に向けるにはあまりにも無責任だ。



そんなひどいこと渚にできない。



あたしは渚に特別な感情なんて持っちゃいけない…。



「好きじゃない…」

「ふーん」



なにか言いたげな茜だったけど、それ以上は言われなかった。



追及されたら誤魔化せない…。



授業中もあたしは集中できなくてまったく先生の話を聞けていない。



こんなんじゃもっと成績下がる…。



渚がバカにしてくる姿を想像するあたし。



っていうかまた渚のこと考えてるし…。



それを打ち消すように机に顔を伏せて、窓際に目をやった。



窓際の席のあたしは、外で体育がやってるのがよく見える。



1年生が外でハンドボールをやってる。



渚はいるかな…。



ってまた渚のこと考えてるし!



も~…。



自分が嫌になる…。



そのとき、ゴールを決めた人が目に飛び込んできた。



渚だ…。



遠目にも笑顔なのがよく見える。



かっこいいな…。



途端に騒ぎ出す心臓…。



わー!



騒ぐな騒ぐな…。



でもなんだか目がそらせなくて、ずっと窓の外に視線が釘付け。



「霜月!」



そのとき先生に大きい声で呼ばれた。



「は、はい!」

「さっきから外ばっか見て、もう解き終わったってことだよな? 前出て答え書きなさい」



う~…。



でも、気がそらせてよかったかも…。



いつもは嫌な役回りも、今日はちょっと助かったみたいな気分。



全然問題分かんないけど…。



適当に答えを書いて席に戻った。
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