好きを教えて、生意気なきみ
「ただいま~」



家に帰ると風里の靴と、女物のローファー。



誰だ…?



リビングに入ると、風里と女の子が楽しそうにゲームをしてた。



「あ、おかえり」

「ただいまー。どなた?」

「彼女」



その言葉に、女の子の方が立ち上がってあたしに挨拶した。



すらっとした美人だ。



なんか見覚えが…。



「あたし、陽鞠先輩と同じ学校の1年です!」

「えっ、あ、どうも!」



風里って高校生と付き合ってるの!?



なかなかやるね…。



「渚くんと同じ図書委員してますよね?」

「あ~…渚と同じクラス?」

「はい、なんか最近元気ないですよね、渚くん」



元気がない?



渚が?



…あたしがセクハラしたから!?



超だめじゃん、あたし…。



「ねえ渚って誰?」

「ただのクラスの男子だよ~」

「俺以外の男の元気なんか気にしないでよ」

「ごめんごめん」



なんかいちゃつきはじめた…。



ごめん、弟のそういうのは見たくないや…。



あたしはそっとリビングから出た。



っていうか渚の元気がないのがあたしのセクハラのせいなら、ますます会わない方がいいんじゃない…?



また次の金曜日が来ちゃうよ、どうしよう…。



次の金曜日は1学期最後の図書委員だ。



多分こんな状況だし、渚は2学期は図書委員やらないよね?



そう思うと、ほっとすると同時になんだか切なさも押し寄せてきた…。



こんな感情、わけわからない!



あたしはもうダメかもしれない…。



結局、次の金曜日の図書委員もサボってしまった。
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