好きを教えて、生意気なきみ
これを逃したらもう話すこともないんだなという切なさの反面、いつもの病気のまま渚に会っちゃいけないという気持ちで…。



昼休み、校舎裏でやり過ごそうとしたら、渚から電話がかかってきた。



ひぃ!



と、とりあえず無視…。



しばらくしてから着信が鳴りやみ、代わりにメッセージが入ってくる。



『一回話そう』



話…?



やっぱ怒ってるよね…?



でもやっぱりこのまま会うことはできないよ…。



そのメッセージにも既読無視をした。



なんだか胸が苦しい…。



そのまま放課後を迎えた。



放課後もサボります…。



昇降口に向かっていたら、また尚先輩と会った。



「あれ? 今日も図書委員サボり?」

「はい…」

「…なんかあった?」



尚先輩が心配そうに顔を覗き込んでくる。



バカなあたしにそんな顔させて申し訳ない…。



そのとき、遠目に渚が歩いてくるのが見えた。



瞬間的に尚先輩の後ろに隠れる。



「…どうしたの?」

「いや…ちょっとやり過ごさせてください」

「分かったけど…」



ありがとうございます…。



だけど、渚はどんどんとこっちに近づいてきた。



絶対バレてる…! やばい!



逃げようと思って尚先輩から離れた瞬間、がしっと腕をつかまれた。



「な、渚…」

「お前なんなの? ずっと避けて」

「さ、避けてない…」

「大嘘つきだな。サボりやがって」

「体調悪くて…」

「じゃあそう言えよ」



渚の腕の力が強い。
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