好きを教えて、生意気なきみ
「じゃあ曜日当番きめまーす。今回は挙手制にするからねー」

「先生、あたし…き、金曜日がいいです!」



思わず手をあげてそう言った。



渚は驚いた表情で。



「ほかに金曜日やりたい人いますかー?」



誰も答えない。



「じゃあ金曜日は今学期も小原くんと霜月さんで決定~」



教室からまばらな拍手が起きた。



それから委員会も終わり、放課後…。



「ちょっと来いよ」



帰る支度をしているあたしに、渚が声をかけた。



「うん…」



あたしも、ちゃんと渚に話さなきゃ…。



渚と一緒に屋上に上がった。



あたしたちがはじめて会った場所…。



誰もいない10月の屋上は少し寒い。



「渚…図書委員、続けてくれたんだね」

「…お前、ほかに言うことねえの?」



渚がそう言ってあたしに近づいた。



あたしは、そんな渚の手をそっと触る。



「渚…この前は、急にキスして、それから、ずっと避け続けてごめんなさい」

「…」

「あたし…渚が好き」



そう言って渚の顔をはっきりと見た。



風に吹かれる渚の顔はやっぱり綺麗。



あたしは鼓動が早くなるのを感じた。



寒さは不思議と感じなくて…。



「あたし、誰かと恋愛してもすぐ終わっちゃう。だから、渚に対してもそうなのかなって。そうだったら嫌だなって思った。だけどね…」



渚は真剣な表情であたしを見ている。



あたしの言葉を聞いてくれてる…。



「渚のことがやっぱり大好き。多分、この気持ちは本物だと思う。渚とたくさん笑って、渚と一緒に色んな話がしたいし、渚をあたしだけのものにしたい…」



なんだかちょっと涙が出てきた。



いまこうしている間にも、渚しか見えない…。



渚のことが好きだよ…。
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