好きを教えて、生意気なきみ
瞬間、あたしは渚にぐっと引き寄せられた。



渚があたしのことを抱きしめてる…。



「俺と…付き合う?」

「渚…?」



あたしは渚のことを見上げた。



渚は少し照れたような表情で。



こんな渚の顔、知らない…。



「ちゃんと言って…」

「俺も…陽鞠のことが好きだ。お前が笑ったり泣いたりしてるのを見て、俺が守ってやりたいって思った。いつからか分かんねえけど…もしかしたら、初めて会った時から、お前に心惹かれてたかもしれない」



渚…。



あたしは、そんな渚が嬉しくて、ぎゅっと強く渚を抱きしめた。



どうしよう、すごく嬉しい…。



今までのどんな恋愛よりも。



こんなに嬉しい感情があるんだって、はじめて知ったよ…。



渚の顔をもう一度見た。



渚が愛おしそうにあたしの髪をかき分ける。



そのまま、渚があたしにキスをした。



息も忘れるくらい…。



2人で見つめ合って、ふふっと笑った。



「渚…大好き」

「絶対…離さねえよ?」

「うん…離さないで」



いつまで2人でそうしてたかな。



なんだかとっても幸せで、時間なんて気にならなくて。



「…さむっ」

「帰るか…」



陽も落ちてきた頃、一緒に帰った。



渚と一緒につないだ手は幸せの象徴で。



茜、しばらくあたしは渚から離れられなさそうだよ。
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