好きを教えて、生意気なきみ

【第8話】嫉妬の深さ

「あ~おいしかった」



あたしは、空になった財布と満足そうな茜の顔を交互に見る。



「食べすぎだよ!」

「だって奢りだもーん」



そう…。



渚を好きになり付き合うことになったあたしは、最初の約束通り茜にご飯を奢っている。



茜が遠慮なしに食べるから、あたしのお財布はすっからかんだ。



それでも茜はあたしと渚のことを祝福してくれた。



『陽鞠がやっと本気の恋愛を見つけて嬉しい』って。



ちょっと照れ…。



そして今日は付き合って初めての金曜日。



図書委員の日だ。



2週間ぶりの図書委員…。



なんか緊張しちゃうな。



だけど渚と付き合ってる状態で一緒に図書委員できるんだ!



楽しみ!



昼休みになり、るんるんで司書室に行った。



渚はまだ来てない。



早く来ないかな~。



そう思いながら、返却ボックスにたまった本を棚に戻していく。



しばらくしてから、ガチャ、という司書室の開く音がした。



渚だ!



そう思って司書室を見ると、そこにいたのは長めのツインテールの知らない女の子…。



1年生だ。



「渚くんいますかあ~?」



なになに…。



誰よ!?



「いないけど…」

「なあーんだ。会いたかったのに」



はあ!?



その子は両頬をぷくっとふくらませてからドアを閉めて行った。



なんなの…!?



っていうか、もしかして渚ってちょっと人気!?



かっこいいもんね!?



あたしは昔から結構嫉妬深い。



むかついちゃったもんね~。
< 51 / 75 >

この作品をシェア

pagetop