好きを教えて、生意気なきみ
「聞こえねえなあ?」

「だから~…渚だけが…好きっ…」



あたしがそう言うと渚がにっこり笑って「よくできました」とあたしの頭を撫でた。



ん~…恥ずかしい!



そのとき、司書室のカウンターから「もしもーし」と声が聞こえた。



見ると…。



「尚先輩…」



尚先輩がカウンターにひょっこり顔を出して手をひらひらさせてる。



「イチャイチャしないで仕事もしてくれる~?」

「す、すみません…」



気まずい…。



尚先輩に会うのはあれから初めて。



どんな顔したらいいか…。



渚にも尚先輩に告られたことはまだ言ってないし…。



い、言ったほうがいい…よね?



「陽鞠ちゃん、もしかして俺が告白したの気にしてる?」



って、あれ!?



尚先輩から言っちゃうんですか!?



渚が尚先輩とあたしを交互ににらみつけた。



「なんすか、それ」

「あ、渚くん聞いてないんだ。俺、陽鞠ちゃんに告白したんだよね」



な、尚先輩…。



あんま言わないで…。



「残念ながら、陽鞠は俺がもらいましたんで」

「みたいだね…。これ、貸出お願いできる?」



尚先輩が渚に本を渡した。



無言で受け取って貸出処理をする渚。



それから尚先輩に突き返す。



「返却ボックスで返してください。陽鞠と会わせると陽鞠が減るんで」

「やだよーん。隙あらば陽鞠ちゃん奪っちゃうつもりだもんね~」



ええ…!?



尚先輩はそう言い残して消えてった。



な、なんてこと言うんだ…。
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