好きを教えて、生意気なきみ
残されたあたしと渚。



渚がじっとあたしの方を見た。



あたしは咄嗟に顔をそらす。



別にやましいことしてないのに…!



「さっきの話、なに?」

「な、なにが?」

「告白。されたの?」



渚がそう言ってあたしを壁際に追い詰めた。



そーっと壁に沿って小さくなるあたし。



そんなあたしを渚が抜けられないように両手でガードする。



「渚と付き合う前の話…だよ?」

「だからといって尚先輩なら言えよな~…」



そう言ってはぁ~とあたしの肩に頭を乗せる。



それからあたしの方を見た。



「妬けんじゃん?」



な、なんか渚…かわいい…。



思わず渚の頭を撫でた。



渚がちょっとむすっとする。



「いつ告られたんだよ」

「渚と付き合う…3日前?くらい…」

「なんだよそれ~…。それで俺と天秤にかけたわけ?」

「ち、違うよ! 尚先輩に告られて…渚への気持ちをはっきり認識したっていうか…」



そうだよ、なにも後ろめたいことないじゃん!



むしろ尚先輩に告られて付き合えたようなものだもん!



でも渚にそう言ったら「なんか余計気に入らねえ…」と言われてしまった。



それから渚があたしに一瞬キスしてから、あたしの頭をぐしゃっと撫でて立ち上がった。



「お祓いでも行くか~」

「尚先輩はお化けじゃないよっ」

「ハハッ。邪気だろ邪気」



そう言って笑う渚。



やっぱ渚の笑った顔、好き…。



「閉じ込めておきてえな~」

「な、なにを!?」

「陽鞠を」

「ええ…?」

「あんま人に見せたらもったいねえじゃん?」



渚さん…もしかしてあたしより独占欲強い…?
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