好きを教えて、生意気なきみ
そういえば、付き合う前もあたしと尚先輩が仲良くしてる間に割って入ってきたりしてたな…。



「あたしが前に尚先輩に『渚』貸そうとしたとき嫌がったのも嫉妬?」

「ん-、あんときはまだ自分の感情に気づいてなかったからな。なんかイラっとして」

「そう…。渚っていつからあたしのこと好きって認識してくれてたの?」

「お前にキスされたあとかな…。なんか全然嫌じゃなかったし。永遠に陽鞠の顔が脳裏に出てくんの」



そう言ってから渚があたしの片頬をつねった。



「なのによくも避けてくれたな?」

「だからごめんって~…」

「割と落ち込んだからな? 既読無視とかも。キスの意味も繰り返し考えたし」



うっ…。



結構考えてくれてたんだ…。



ていうか渚って意外にちょっと繊細なんだ…。



申し訳ないけどなんかちょっと嬉しい…。



「なに笑ってんだよ」

「べつに?」



渚との図書委員、楽しいなー!



こんなの毎日やりたいじゃんね?



それから閉室時間まで渚と仕事して。



「帰るぞ」

「うん!」



渚が出してくれる手をぎゅっと握った。



最高に幸せ。



寒くなってきた帰り道、渚に寄り添って歩いた。



渚はそんなあたしに、さらに手の力を強めてくれた。



ふへへ…。



そんな次の日の土曜日は、あたしの家で渚と一緒に試験勉強!



「お邪魔します…」

「お~、陽鞠の彼氏だ! イケメンじゃん~」



お母さんが嬉しそうに渚を迎えた。



お母さんには酔っぱらってキスした話以外は全部話してる。



だから、あたしの初めての本命彼氏ってことも知っていて、それに結構喜んでるみたいだ。



渚はあたしのお母さんにちょっと緊張気味。



そんな渚もかわいい~。
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