好きを教えて、生意気なきみ

【第9話】キス、待ち

にやにやしたままあたしに顔を近づける渚。



あたしはぎゅっと目を瞑ってキスを待った。



だけど…。



しばらく待っても何もない…。



あ、あれ…?



目をそっと開けると、渚は勉強道具を出して勉強を始めていた。



か、からかわれた!



あたしはむすっとした顔で渚の隣にそそっと座った。



「ほら、陽鞠も早く勉強はじめろよ」

「はーい…」



しぶしぶあたしも勉強を始める。



たまにちらっと渚の顔を見る。



勉強してる顔もかっこいい…。



自然と唇に目が行く。



って、違う違う!



さっきのせいで意識が唇に…。



2人きりの部屋。



今日ってもしかして、なんかえっちなこと起きたりする?



はじめてじゃないけど…渚とだったらなんか緊張しちゃうかも!



わ、なんか想像したら恥ずかしい…。



って今はそれより勉強だよね!



集中集中…できない!



さっきの渚のせいだ!



あたしが一人悶々としているのに気づいているのか気づいていないのか、渚は涼しい顔で勉強を続けてる。



あたし一人でパニックだ…。



「手止まってんぞ」

「はい…」



なんで普通に勉強続けられるの~…?



結局それからもあたしは集中できず、渚からも何もされないままその日は終わった。



終わったテストの結果も散々…。



「どうだった?」

「全然だめでした…」



渚に返却されたテスト用紙を見せると鼻で笑われた。



渚のせいだもん!
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