好きを教えて、生意気なきみ
嫌がる渚を引っ張ってお化け屋敷に入って行った。



あたしは渚の腕をぎゅっとつかむ。



「…胸当たってんぞ」

「バカ!」

「なんかやる気湧いて来たわ」



渚の方がスケベじゃん!



それから慎重にお化け屋敷の中を歩く…。



≪だれだー!!!!!≫



「キャーーーーー!!」

「ワーーー!!」



お化けが追いかけてきたから2人で走った。



と思ったら、頭上から髪の長い何かがぶらんと落ちてきた。



「イヤー!!!」

「バカお前俺を置いて行くなよ!」



渚置いて先に走っちゃった…。



渚がぶら下がった髪の長い人形から恐る恐る距離を取りながら歩いてくる。



「渚! 早く来てよ~…」

「ちょっと待てって…」



一人でこんなところ立ってたくないよ~…。



そのとき、あたしの首筋に冷たい冷気…霊気?がふーっとかかった。



「ギャーー!!」



あたしはたまらずに走って逃げだしてそのままゴールした。



あ、一人で出てきちゃった…。



ごめん渚…。



しばらく待ってたら、げっそりした顔の渚が出てきた。



あたしのことをにらんでる。



「…ごめーんね?」

「もう絶対入んねえからな…」



っていうかあたしも文化祭のときにもう二度とお化け屋敷入らないって決めてたんだった…。



あはは…。



それからすべての気力を奪われたあたしたちは、とりあえずフードコートに入った。



「甘いもの食べる~…」



チョコバナナサンデーとシャインマスカットのパフェ。



食べてたらちょっと気力が回復した。



「俺のも食うか?」

「うん!」



渚がスプーンをあたしに「ん」と差し出してきた。



このまま食えってこと…?



あたしはぱくっと口に入れた。



甘い…。



「あたしのもあげる!」



そう言ってあたしも同じようにスプーンを渚に差し出した。



渚があたしの手ごと持ってスプーンを口に入れた。



なんか楽しいな~。



デートって感じ!



それから2人で遊園地内を散策したり、いろいろと乗ったりして一日楽しんだ。
< 59 / 75 >

この作品をシェア

pagetop